〜第二章〜
〜プロローグ(2)〜
「ひまだぁ〜〜…あぁ〜…」
間の抜けた声があるマンションの一室に木霊した。
声の主は今井 貴冬。
最近このマンションに引っ越して来た田舎者である。
大型連休に入って今日で四日目。
彼はその四日間をこんな感じに過ごしていた。
「これだったらまだ学校があったほうが…、いやいやいや…」
どうやら学校のことを想像した後に、また否定をしてるらしい。
学校。
彼が過ごしていた異常(?)な毎日は全てこの学校が問題であった。
早澤女子高等学校。
そう、何を隠そう女子校なのである。
なぜ彼が女子校に通っているのかと言うと…それは今は伏せておこう。
「くぅう…こうなったら、外で暇つぶしをしに行くしかない!!」
別に叫ばなくても…。
周りに突っ込む人がいなければ、一番の問題は自分自身である(笑)。
外の天気はかなり良かった。
「あじぃ…(暑い)」
程よくふく風。
「生暖かくて…気持ち悪い…」
…
そんなこんなで、彼は一つの図書館へと足を運んだ。
「ふぅ〜…涼しい〜♪」
どうやら、クーラーがきいているらしく彼の元気が見る見る回復していった。
彼にとって珍しい図書館(彼の田舎にはなかった)。
特に調べ物が合ったわけではないので、とりあえず彼は歩き出した。
そんな中、一人だけ彼の目に止まった人がいた。
「あ…あれって…」
小柄でこれまた小柄なメガネを付けてせっせとペンを走らせている彼女。
室田 由紀である。
「何してるんだろ…」
何をしていても、知っている人がいるだけでそれは嬉しいものであった。
女の子の苦手な彼だが、暇よりはマシと言わんばかりに彼女へ近づいた。
あと五歩も歩けば手が届くだろうと言う場所まで彼は歩み寄った。
「(う〜ん、中々気づかないもんだなぁ〜)」
さらに彼は歩を進める。
そんなときであった。
「あぁ〜〜!!貴冬みっけ〜〜!!」
それがかくれんぼでもしている最中ならば『あぁ〜見つかっちゃったかぁ』で済むのだが…。
ここは図書館である。
四方八方を囲まれて、声の主プラス貴冬は凶悪な視線を浴びることとなった。
「す、すみませんでしたぁ〜〜!!」
そう叫びながら、彼は声の主を脇に挟むように抱えて図書館を疾走した。
後に残った由紀が、今頃になって顔を上げて頭上に?マークを飛ばすこととなった。
「ねぇ〜なんで外に出たの〜?暑いよ?」
「何でってお前…」
お前には常識が通用しないのか?
そんな言葉が彼の頭を過ぎった。
水野 由美子。
声の主はやはり彼女であった。
「で?図書館でなにしてたの?」
いつもと同じような笑顔で彼女は貴冬を見つめる。
「あぁ〜えっとなぁ…」
いきなり彼女の笑顔に彼は少し頬を染めながら、視線を外す。
「ちょっと暇つぶ--」
「そうだ!!貴冬も一緒に旅行行こうよ!!」
彼の言葉をうまく潰した彼女の一言であった。
…